ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

PYG『花・太陽・雨』

1971年元タイガースの沢田研二・岸辺修三、元テンプターズ萩原健一
大口広司、元スパイダースの井上堯之大野克夫
結成したスーパーバンドPYGのファーストアルバム
PYG!」を聴いた。
たった一年の活動で、沢田研二萩原健一という
GS時代のスーパーアイドルヴォーカリスト
擁していたというのにさ程売れず、
彼等が出演したロックコンサートでは、
観客から「帰れ!」との激しい罵声を浴びたという。
けれど、初めて聴いて驚いた。
岸辺修三(現・岸辺一徳)作詞、井上堯之作曲の
『花・太陽・雨』の格好良さはどうだろう。
紛れも無いROCKである。
「もどらない日々」「何もない部屋」も痺れた。
元GSという括りから、偏見を持たれてしまったのは
非常に残念だと思う。
けれどPYG解散の後、ジュリーはソロシンガーとして花咲かせ、
萩原健一岸部一徳も俳優の才能を開花させ、
井上堯之大野克夫もそれぞれ活躍して行ったのだから
それぞれ進むべき道は開けていたのだろう。
それでもやはり、野音での排斥行動を受けたという事が私は悔しいのだ。
30数年経っても同じ事が起きている。
ちょうど今、夏のロックフェスが各地で行なわれている。
フェスのHPの掲示板で、PYGの時のような一斉非難
までは行かないけれど、
「あれはロックじゃない。」とか何とか書かれていて、とても情けなく為る。
素晴らしい音楽に違いがある訳じゃなし。
ジャンル別けでどっちが優れてるとかそうじゃないとか、無意味だと思う。
その人に響くか響かないかの違いだけだろう。
PYGの『花・太陽・雨』に話が戻るのだが、
この曲は1971年放送の「帰ってきたウルトラマン」の『許されざる命』という回の挿入歌として
使われたという。
THE YELLOW MONKEYはとかく歌謡曲だの演歌だのと
言われる事が多かったけれど、
『水に濡れたウルトラセブンにエロスを感じた』とか
発言していた吉井和哉氏も
この『許されざる命』を観ただろうか。
帰ってきたウルトラマンである郷隊員の幼馴染の青年が有名な科学者である父に反発し、
動物と植物の融合である新生命体を作り出すが、
暴走し怪獣化してしまう。
青年は我が手で作り出した新生命体を湖で殺す事に忍びず、郷隊員の制止を振り切って湖に飛び込み、
怪獣に殺される。
その青年が湖に飛び込むシーンでこの曲が
流れたそうだけれど、この科学と倫理、
親子や友情という人間の愛、哀しみの中にも
光と風と太陽・・・生きる希望を見出すような、
そういう力のある歌だと思う。
YOSHII-LOVINSONとしてどんな曲を我々に届けてくれるのだろう。
吉井和哉を育んで来た音楽の数々がどんな風に彼の中で熟成されているのか
非常に興味深い。