ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

夢見るちから

随分と久し振りに「R&RNニューズメーカー」を買った。
押部啓子さんの『TALI』レヴューが載っていたからだ。
『詞も、私小説的なものは前から時々書いていたが、
「TALI」はそこから更に"小説"がとれた、より"私的に映る書き方"をしている。』
という文章がとても印象的だった。
『TALI』の歌詞は、YOSHII LOVINSON名義でソロデビューを決めた
吉井和哉の意思の表明なんだろう。
ベース、ギター、キーボード、パーカッションも全て
自分で演奏し、自宅で独りきりのプリプロ(ダクション)を経て、
レコーディングでは本人以外のプレーヤーは、ジョシュ・フリースという
ドラマーだけだそうだ。
正直、一番最初に聴いた時には、THE YELLOW MONKEYでの
華麗なエマのギターやヒーセのドライビングベース、アニーの
キレのあるドラムに馴染んだ耳には、『TALI』の音が
薄味に感じて仕舞っていた。
けれど、ヘッドホンで聴いていると、思いの他それぞれの音色が
細かく構築されているのに気付く。
素人が偉そうに言って申し訳ないけれど、きっとモノ凄く緻密な
作業を延々続けていたのだろうと推測すると胸が熱くなる。
『TALI』の内ジャケットに映されたあの部屋で、真剣に機材を操作したり、
『TALI』の告知ポスターのまるで幼子のように無邪気な笑顔をうかべたりしながら。
37歳の誕生日を迎えた一人のアーティストとして、自然体で
音楽に打ち込んで行こうとする意志を打ち出しているんだと思う。
「結婚」というある意味衝撃的なフレーズは、
THE YELLOW MONKEYのフロントマンとしての妖しく煌びやかな
ヴォーカリスト吉井和哉である自分から、繊細で内省的な面を持つ
素朴で飾らない個人としての吉井和哉への融合というか回帰というか、
そういう事ではないかと感じた。

(卓球少女)愛のメッセージ でファンへ送られた
『それではみなさんも、目標にむかって がんばって下さい。』は、
ファンへの言葉であると共に、自分自身へ向けたエールであるように
思えて、胸が熱くなった。
2年9ヶ月待ち続けて、ようやく吉井和哉の歌を聴く事が出来たら、
今度は、歌う姿を見たいと願って仕舞う。
アルバムも早く聴きたい。ライブも見たい。
ファンの渇望は留まる事を知らない。
けれど、去年のお誕生日に
『メンバー全員が準備万端になるまで、まだ時間はかかりそうです。
でもみんなそれぞれ、がんばってます。』
と、メーッセージをくれた、その言葉を信じて待っていようと思う。
夢を見続ける事は、思い続ける事は、大きな力を持つ。
そう信じる事で強くなれる。