ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

遥かな世界

THE YELLOW MONKEYへの餓えに襲われて、昔の映像を眺めている。
私がMONKEYの曲で特に気に入っているのは、「峠」「天国旅行」
「球根&BULB」だけれど、全120曲中で最もロマンチックだと
思うのは、「遥かな世界」だ。
jaguar hard pain Live'94」の中でジャガーは、
『何千年、いや何億年一緒にいよう。・・・
ありがとう、愛してます。』と言って天を仰ぎ、祈るように
この曲を歌い出す。
“夜明けは 君と溶けたままで 眠りたい”
“石で性器をつぶしても 君を好きでいられるから”
肉欲を超えて肉体を離れて、精神のレベルで一緒に溶けあいたい・・・
性器をつぶすだの、カサブタを剥がすだの、痛々しい血の匂いのする詞だけれど、
この上なく甘美な究極の愛の世界への憧れを感じる。
“星を飲んだら月になれる
 月を操れば神に逢える
 神に頼んだら時は止まる
 時を止めたら君といられる”
ただ二人の時を止めたいと歌うのではなく、
星を飲んで月を操り神に願う・・・吉井和哉という人は、
本当にロマンティストなんだなあと思わされた詞だ。
“いたくない もう痛くない”から
“イタクナイ モウ イタクナイ・・・モウ イタクナイ”
現実世界からの脱却、肉体からの精神の解放、とても危険で甘やかな幻想だ。
この曲が発表されて10年も経つけれど、未だ色褪せず
瑞々しいロマンチシズムの香りに惹き付けられている。