ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

吉井節

アルバム「at the BLACK HOLE」が「吉井節炸裂だ!」だと仰る人がいて、
例として“無意味な過去のテーブルでほおづえついたら”
『SIDE BY SIDE』を挙げておられた。
また、同じ『SIDE BY SIDE』の
“破れている 中身出てる”
“ふさいでやろう BABY SIDE BY SIDE”の箇所を挙げ、
「君の破れている箇所をふさいであげたいという言葉と、
針を突き刺すという行為の共存が何ともエロティックだ。」と
言う方もおられた。
“針をくわえ・・・縫う しっかりと縫う”
“鋭利な喫茶店”で“ほおづえ付いて斬られ”血を流しているのは、
彼自身かも知れない。
自分自身も綻び破れている身体で、“君”を針で縫ってあげよう。
彼の詞には、「痛み」と「エロス」が深く結びついているようだ。
被虐と苛虐・・・両面を持っている。
愛を切望しながらも、どこか愛を信じきれていないような気配がある。
あどけない少年のような純粋無垢な心と、老成しシニカルな視点で
世を眺める毒気、相反する気質が彼の詞の世界にある。
孤独、絶望、寂寥感それらと同じくらい、無償の愛を希う想いの強さを感じる。
YOSHII LOVINSONのコラムによれば、
新曲「トブヨウニ」に収められる3曲は、
『at the BLACK HOLEに収録されなかった曲たち・・・
ある意味とても濃い』ものだという。
吉井節がより一層色濃く反映されたニューシングル「トブヨウニ」まで
あと二ヶ月、どんな詞の世界になるのだろうか。
早く吉井節に浸りたい。