ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

WHITE ROOM

フイルムを慎重に開けレコード盤を中袋から取り出しターンテーブルにそっと載せる。

レコードが廻り始め針が静かに下りて行く。
この動作がもう本当にワクワクする。
「WHITE ROOM」は、YOSHIIが話してくれていた通り、あの白い薔薇の花の
レーベルだった。これを目にしただけでもう涙目だったけれど、
1曲目の「PHOENIX」が鳴り始めた瞬間、感極まった!
“風の広場で魂が鳴いてるよ”
“産声を上げ
 PHOENIXが太陽に・・・”
YOSHIIの詞が歌声が、そしてこの音が聴く者の心を震わす。
何故か懐かしく、まるでこの身が清められて行くようにも感じられた。
この「PHOENIX」はきっとこれからの私にとって大切な曲になるだろう。
「CALL ME」CD盤の方のブックレットのフォトに驚いた。
私の一番好きな映画ジョニー・デップ主演の「デッドマン」に出て来る
シーンが蘇った。
胸を打たれた男が人に殺された小鹿の血と自分の胸の血を合わせ、
大地に横たわるシーンだ。命が大地に還っていく。
枯れ枝の地に横たわるYOSHIIが尊くて堪らなかった。
「欲望」60年代の人気TV番組主題歌みたいな煌びやかな音だと思った。
歌詞がまた素晴らしくYOSHIIだ!
コレステロールがいっぱいだ”
危険がいっぱい!YOSHIIの存在そのものが“生命ちらつかせ”試してる♪
「WANTED AND SHEEP」
荒野の情景が目に浮かぶ。
生きる為に逃げているのか、ただ逃げる為に生きているのか・・・
“生きてる体を確かめた”この歌は好きだ。
「RAINBOW」
灰色の空も心も全て、七色の色の絵の具で塗って仕舞え!
虹は綺麗だけど渡りたくなって困る。
[JUST A LITTLE DAY」
“切ない”という感情をこんなに愛おしく表現する人を私は他に知らない。
穏やかで優しい歌なのに、とても力強さを感じる。
YOSHIIはこんな歌を歌えるようになったんだなあって、
この人がTHE YELLOW MONKEYの休止から5年・・・
着実に刻を重ねて来たのだなあと実感した。
「FINAL COUNTDOWN」
爆発までのFINAL COUNTDOWNの歌だったんだね。
LIVEで弾けたい。
「NATURALLY」
“オレは生まれつきの何かな?”
“貫け自己流”という言葉が出て来るまで、この人は
一体どれほど多くの厳しさを経て来たのだろう。
「トブヨウニ」
ALBUM VERSIONに為っている。私はこちらの方が好きだ。
「FOR ME NOW」
“蒔いたみたいなROCKを思いっきり吸ったからか
もう言葉達は大地へ返そうと思う”
“大地へ返す言葉って少ないもんだな”
『言葉を大地へ返す』という発想が凄いなあ。
でも本当にシンプルな言葉が結局一番大きい力を持つね。
言葉の力は思ってるよりずっと大きいものだよね。
私は、だから“善い言葉”を使って生きたいと思う。
「WHAT TIME」
“走れ黙って 走れ染まって”
“足跡を残して”
過去と未来が繋がって。
“そうだよ僕だってね この中にいる”
白い薔薇と一緒にYOSHIIも廻り続けている。
ずっとこのレコードの中にいてくれる。
楽家として独り歩いて行く事を決めたYOSHIIの
静かだけれど厳しく強固な誓いの歌だ。

本当の事を言うと私は、このアルバムを手にするまで不安だった。
「at the BLACK HOLE」が私にとても嵌っていたからだ。
「SWEET CANDY RAIN」「BLOWN UP CHILDREN」「HATE」・・・
私は、これらの深い暗闇への際から一条差し込む光のような
YOSHIIの音楽に惹かれているのだと思っていたから。
大好きな「CALL ME」は、解散発表前に出来た曲だというから
その後に作った曲がもしかしたら「開放感に満ち溢れた自由な曲」ばかりだったら
どうしようかと少し心配だった。
けれどそんなのは全くの杞憂だった。
今は、この『WHITE ROOM』がYOSHII LOVINSON本名吉井一哉が作ってきた
音楽の中で最高だと思う。
心から出会えて良かったと思える大切なアルバムになった。
ありがとう!この曲達を奏でるステージに早く立ち会いたい!