ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

「ライブ帝国 THE YELLOW MONKEY 」が届いた。
どれも持っている映像だけれど、綺麗な画像で見られるのが嬉しい。
93年アポロシアターのあの自転車柄スーツの吉井の麗しさは見事なものだし、
イカルシアターのあのキザ男振りも惚れ惚れする。
96年日清パワーステーションでの、THE YELLOW MONKEYというバンドが
王者の風格を湛えて圧倒的なライブを繰り広げる様子は、本当に
素晴らしい。けれど、このDVDで一番私の心に響いて来たのは、
汗だくで目を瞑ってギリギリの魂を振り絞って歌う「球根」そして
「離れるな」だ。
若く麗しい吉井も勿論好きだけれど、私が今一番注目するのは、
過去の吉井和哉ではない。
2005年現時点の吉井和哉だ。
東京ドーム「メカラウロコ15」が開催されてから今日で丸一年だ。
東京ドームのあの広いフロアでTHE YELLOW MOKEYの歴史を辿り、
メモリアルフィルムを鑑賞し、そして最後にメンバー4人の最後の
「JAM」の演奏を目にした。
あの「JAM」は、哀しいけれどもうTHE YELLOW MONKEYの「JAM」では無かった。
かつてTHE YELLOW MONKEYだったメンバー達が其々のパートを歌い演奏する、
そういう別れの儀式だった。
4人が一緒に演奏しても、もう本当のTHE YELLOW MONKEYではないという現実を
突きつけられたあの「JAM」を体感出来て、
あの時はそりゃあ複雑な思いだったけれども、今は良かったのだと思う。

吉井和哉に戻っての初インタヴュー「bridge」を読んだ。
ビジュアルが実に怪しくて良い。
このスーツにこの水玉ボウタイシャツなの?っていう組み合わせだ。
髪も随分伸びて胡散臭さ倍増だ。
私は、穏やかな優しい顔をしている吉井よりも、これくらい悪そうな
顔をしている吉井の方に惹かれる。
渋谷社長に向かって「いいでしょ」「脱いだらすごいっすよ」
「次のアルバム・インタヴューではひっくり返りますよ。
『やっぱり君は天才だ』って」
自信が漲ってはちきれそうになっているのが頼もしく嬉しい限りだ。
身体を縛っていた枷が解けたんだね。
吉井の見渡す世界の方向性がしっかり定まったのを感じる。
彼の想いがどのような言葉でどのようなメロディに乗って
届けられるのか、楽しみでならない。