ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

My Foolish Heartツアーファイナル「大阪城ホール」

名古屋ZEPP初日に行ってか一ヶ月余り、待ちに待ったLIVEだった。
曲順は同じ、そして見る位置も名古屋とほぼ同じだったから
純粋にこの一ヶ月間にどれだけこのMy Foolish Heartツアーが
成熟していったかを感じることが出来た。
吉井は、声が良く伸びて、ステージの縦横を動き回り、ツアーファイナルを
無事迎えた喜びを全身で表しているようだ。
名古屋で感激した「SADE JOPLIN」 は、更に格好良いROCKになっていて痺れたし、
カート・コバーンに捧げます」といって歌いだされた「HATE」の
間奏での“母さん、母さん・・・”の呟きに、ゾクリとさせられた。
「MUDDY WATER 」では、うがい方「イナバウアー」を実践してみせたが、
随分身体硬いんですねえ。あんなにくねくね踊るのにね。
バーニーには、コップの水ではなく「月桂冠」一升瓶で「イナバウアー」を
何度もやらせ、強引に「バ!」へ持って行き、会場を沸かせた。
バーニーさんが、次第に顔を紅潮させていって、吉井があとで「ごめんね」と
言ってるのが微笑ましかった。
エマさんは、吉井に促されて中央へ出てくる事があって、
また右側前方へも出て来て華麗なソロを魅せてくれた。
膝を屈伸させて仰け反るように弾くエマさんは、より細くなっていたが、
この人の懐の深さ・優しさにどれだけ吉井は、助けられているんだろうかと、
エマさんの存在の力の大きさを感じた。
「ここに来ている皆に共通する事は、確実に死ぬこと、今生きていること」
そう語って歌い出された「SWEET CANDY RAIN」は、より一層心に沁みた。
心の弦を何度も掻き毟るように歌っていたのは、何の曲だったろうか。
この人の肉体を通して奏でられ響いてくる音を聴けることは、何て
幸せなことだろうかと思った。
本編ラストの「BEAUTIFUL」まで本当に密度の濃いLIVEが繰り広げられていった。
曲順がとても良いから、ここまで全く時間を感じていなかった。
あとは、アンコールを残すのみと為ったことがとても惜しい気持ちだった。
「HIKARETA」で始まったアンコール2曲目は「トブヨウニ」が演奏された。
OPEN YOUR EYES
 OPEN YOUR MINDS
 OPEN YOUR LIFE
 心ひとつかじって
 トブヨウニ”
インゴ・マウラーの巨大なハートの照明オブジェ「Cuore Aperto(開かれた心)」が
美しかった。
『ワイヤー切れて落ちて刺さったら・・・良いオブジェになるでしょう。ハートが刺さって死ぬのなら本望』とか
言ってたけど。
「MY FOOLISH HEART」は、一ヶ月前よりももっとずっと心に響いて来た。
これで終わりかと思ったその時、
『カバーをやりましょう』と言ったから、「え?何か外国の曲演るの?でも何だろ?」と
???が渦巻いたところに鳴り始めた曲は、何と「バラ色の日々」だった。
THE YELLOW MONKEYのカバーだったのだ。
いつの日か吉井がTHE YELLOW MONKEYの曲を歌う時も来るだろうとは思っていたが
それがこの時だとは思いもしていなかった。
“長い鎖を引き千切っても”と歌う吉井から目が離せなかった。
吉井の姿も歌声もTHE YELLOW MONKEY吉井和哉として見えなかった。
それまで「吉井和哉」ソロのサポートとしてきっちり仕事をしているというクールさ控えめさを
感じていたエマさんがこの「バラ色の日々」では、THE YELLOW MONKEYのエマそのものに見えた。
伸びやかに気持ち良さそうに歌うヴォーカルの傍らに、鮮やかな華を輝かせるギタリストがいた。
私には、二人しか見えていなかったから、ヒーセではないベーシスト、アニーではないドラマー、
三国さんじゃないキーボーディストがどうだったのか、全く記憶にない。
「ああ、吉井はついに越えたんだな」と「この曲をうたえるようになったんだなあ」と
嬉しさと切なさが入り混じった何ともいえない感情の坩堝だった。
歌い終えて吉井は、いつもだったらあっさり引っ込んで行くのを
昨日はゆっくりと客席を見遣っていたし、エマさんはエマは丁寧に深くお辞儀をしてくれた。
あの姿にじんとさせられた。
ファイナルでTHE YELLOW MONKEYの曲を「バラ色の日々」を遣った事に賛否両論あるようだ。
けれど、私はこの意味は大きいと思う。
考えて見れば、「バラ色の日々」はTHE YELLOW MONKEYの一番苦しい時期に出来た曲だ。
「生きる苦しみ・生きる喜び」これは、休止・解散を経た吉井和哉が一貫して歌い続けているテーマだ。
みんな自然に繋がっている。

急がなくても良い。
ゆっくりじっくり吉井の目指す音楽を突き詰めて行って欲しい。
それが結局、彼の「THE YELLOW MONKEY」究極の姿に近づく一番の道だと私は思う。

LIVE前に出会えた方々、LIVEを一緒に見れた方、LIVE後に出会えた方々、
素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。ありがとうございました。