ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

歌心

東海林太郎という歌手がいた。燕尾服に直立不動で歌う姿が強く印象に残っている。
きちんと声楽を学ばれた方だそうで、私が覚えているのは、かなりご高齢の晩年の頃
だったろうけれど、とても綺麗な発声で伸びやかな美しい歌声だった。
著書の中で
『これはいつも思うことなんだけど、歌の深さと愛情の深さにはきりがありませんね。
歌って「これが最高だ」なんて、うぬぼれちゃいかん。歌は途方もなく深く広い世界をもっていて
人間の成長につれて、肥っていくものだ。美声が衰えても、内容が変ってくる。』と
述べておられた事を知った。
先日のBS放送での吉井和哉の声が甦る。
『声の出し方をもう一回見直そうかなと・・・
 声帯も衰えていくし
 鍛えていかないと歌えないし・・・
 昔とは違う良さを身につけていきたい』
BSでのLIVEを見て、改めて感じたけれど、
昨年夏のLIVEの時より、吉井の歌は格段に深みを増した。
新しいヴォイストレーナーについているとのことだし、今回のツアーに向けて
相当鍛錬を積んだのだろう。
『ルックスもそうだし、曲もそうだし、歌詞もそうだし、声もそうだし
 今年からまた色々自分の殻を破って多いに変えて行こう』
ホントにROCK!な人だなあ。
常に高みを目指すその探究心と、「歌」への情熱がある限り
吉井の「歌心」は、より深く熱く息づいて行くことだろう。
『ミュージシャンの演奏がビンゴの連続』だという報告も嬉しいけれど、
新作をこんなにも楽しみに心待ちに出来る今が
何より幸せだと思える。
吉井和哉が歌い続けていることに感謝したい。