ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

猫もつれて行こう

かなり遅い話題だけれども、TV LIFEに掲載された
僕らの音楽」プロデューサーきくちさんと吉井和哉
対談で語られた『猫もつれていこう』の歌詞の話が引っ掛かっている。
きくちPは『ファンの皆さんは知っているみたいですね。』と
仰っているけれど、どういう意味だろう。
「楽園」は、1996年11月25日、古巣コロンビアを離れファンハウスへ
移籍したTHE YELLOW MONKEYが放った第一弾シングルだ。
吉井曰く最初は、『「スプーン一杯分の幸せをわかちあおう」は
「動脈」ではなく「静脈」だった。』とのことで、
覚せい剤の歌」にしようとしていたらしい。
社長に止められ結局「動脈」になったけれど、この曲からは、
古い体制、しがらみ・・・そういうものを振り棄て、
新天地を目指そうとする「決意表明」の強い意志を感じる。

“ひとりきりもいいだろう ふたりだけもいいだろう
 猫もつれて行こう 好きにやればいい”

この「猫」は何かの比喩なのだろうという気がする。
発売当時は、きっと吉井は猫が好きなんだろうとしか思っていなかったが、
人に従順な犬と違って猫は、人に干渉される事を好まない
自由気ままな生き物というイメージがある。
猫=CATのスラングでは、ジャズミュージシャン、ジャズ好きという
意味があるそうだ。
もしかしたら吉井も、ジャズという狭い範囲ではなく
ROCK好き、更に言えばTHE YELLOW MONKEY好きの音楽狂達を含めて、
自分達の「音楽の極み」へ導こうという目標を「猫もつれて行こう」と
表現したのじゃないかと思う。

『自由を目指して』っていう夢と希望に満ち溢れた歌だけじゃないところが
本当に凄い。

“愛と勇気と絶望をこの両手いっぱいに”
“赤い夕日を浴びて黒い海を渡ろう
 そして遙かなあの自由の聖地へ”

青いサンゴ礁の海なんかじゃないんですよ。
「絶望」もちゃんと抱えているんですよ。
これでこそ吉井だ。
ホントは「猫」も苦手な癖に「猫もつれて行こう」って
歌っちゃう吉井が好きだ。