ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

聖なるもの

サンタ・サングレ 聖なる血 [DVD]

サンタ・サングレ 聖なる血 [DVD]

アレハンドロ・ホドロフスキー監督の「サンタ・サングレ 聖なる血」を観た。
この作品の名前を知ってから随分経つ。
あまりに血生臭い猟奇映画だという先入観があって
今まで見そびれていた。
けれど、年末発売予定の吉井和哉自伝に書かれていると告知された
「母の呪縛」という言葉をきっかけに、ようやく観る踏ん切りがついた。
確かに残酷でグロテスクではあった。
けれどとても美しい映像だとも感じた。
何故もっと早く体験しなかったのかと悔まれた。
主人公フェニックスは、不死鳥、死して再び蘇るもの。
アルマは、スペイン語で魂。母コンチェは、貝、女性器の象徴。
父オルガは、生、性?
物語のラストにフェニックスは、残酷な現実を突き付けられたけれど、
彼は、あの「私の手だ!」というあの場面で、
真に解放されたのだと思う。
画面に映し出された

私はあなたに手を差し延べ
わが魂は渇いた地のようにあなたを慕う
道を教えたまえわが魂はあなたを仰ぐ
詩篇143篇

アルマがフェニックスの呪縛を解いていくシーンに
流れる音楽がとても優しく哀しく響いて胸に迫って来た。
フェニックスの少年時代と青年時代を演じたのが
監督の息子達だという事に驚いた。更に劇場の切符売りも。
美形揃いだ。手が美しい。
切り落とされた母親の両腕に為り代って、
舞台で演じたりピアノを弾いたりするフェニックスの
手指は、本当に艶かしく、手指自体に人格が宿って
蠢いているようで、妖しく美しかった。
「GENIUS INDIAN TOUR」で映し出された映像の
蠢く赤い指先を思い出した。

観終わって考えたのは、「呪縛」を解くのは、
「赦し」ということなのかなあという事だ。
人を、自分を、赦すというのは、本当に難しいことだよね。
私自身の課題でもある。
でも、いつか必ず、その日が早く来ますように!