ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

さわやかに歌おう

ヒットの種 (TOKYO NEWS MOOK)

ヒットの種 (TOKYO NEWS MOOK)

サエキけんぞう氏が邦楽男性、女性、そして洋楽アーティスト
計50組について、「ヒットの種」を論じていらっしゃる。
この50組の中に我らが吉井和哉が選ばれているというのが
とても嬉しい。
とりあげられているのは、正しく「ヒット」そのものの
ベテランから現在のミュージックシーンの新星達まで
本当に豪華な顔ぶれだ。
ソロ「吉井和哉」は、実際問題において
THE YELLOW MONKEY時代とは、認知度も売り上げも
厳しい状況だろうと思う。
それでも、
『天才だ 退廃な歌を さわやかに』と掲げて
『シュール極まりない詞』『狂気の一歩手前の表現』
『もう誰も止められないサイケな世界観』が
『スッと身体に入って来る』
『手を上に振りかざして』『一緒に盛り上がれる』
『さわやか』なのだそうだ。
最初この「さわやか」という文字を目にした時、
私は、「吉井和哉がさわやか!?」と
違和感を感じた。
けれど、そう言われてみれば、その通りかもしれない。
「at the BLACKHOLE」も「WHITE ROOM」で顕著だったように
そして「39108」や「Hummingbird in Forest of Space」
においてでも、内面を深く掘り下げ、
心の闇を色濃く感じさせる曲があった。
けれど吉井和哉のどんな暗い歌にも
その先に「光」や「希望」を感じさせる力がある。
「絶望」や「悲嘆」の最後に残る
微かな尊いもの、そのことを信じさせてくれる。
『ありがとうの歌』の歌詞にあるように
“かぎりない淋しさを かぎりないむなしさを
 さわやかに歌おう
 やるせない苦しみを やるせないモヤモヤを
 さわやかに歌おう
 ・・・・・・
 いつも心に青空を いつも明日に続いてる”

THE YELLOW MONKEYの「空の青と本当の気持ち」
そして「太陽が燃えている」に歌われたように、
どんなに暗くあるいは淫らな事を歌おうとも
吉井和哉には、どこかしら汚せない「清らかさ」とでも
いうべきものがあるのだと思う。
自分で言っておいて何だけれども、
吉井和哉と「清らかさ」は、
相当ミスマッチで、面白い(笑)