ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

叶わぬ恋だからこそ

11日にDVDとCDを手にしてから私は、レッド・ツェッぺリンの虜になって仕舞った。
最初の何日かは、未知のライブ映像の素晴らしさに狂喜し、CDのライブ音源に浸り、
この上ない喜びを感じていた。
けれど、中古で「狂熱のライブ」を手に入れ、何年ぶりかでこの映像を観て、
切なさが止まらなくなった。この気持ちには覚えがある。

私は、THE YELLOW MONKEY曲の殆どを作り、歌う吉井和哉に恋している。
ヴォーカルでありコンポーザーであり表現者である吉井和哉という
一人の人間に対してだ。しかし、今回は違う。
ギリシャ彫刻を思わせる黄金の獅子プラントでも、ギターの魔術師ジミー・ペイジでも
ない。天才ドラマー、ジョン・ボーナム、ベースとキーボードを自在に操る
職人技のジョン・ポール・ジョーンズの4人が作り上げたミラクル・バンド=
レッド・ツェッぺリンというロック・バンドそのものに対しての恋なのだ。
ボンゾの死により解散を余儀なくされた、既に伝説と為って仕舞ったバンドである。
熱病に冒されたように彼らの軌跡を辿り、彼らの残した音を探し求め、
残像に手を伸ばそうとしてみても満たされる事はない。
切なさばかりが募る。何て不毛な恋だろう。
何でよりによって、もうこの世で出会う事はないバンドなんだろう。
既に存在しない、手が届かない境地に去って仕舞ったゆえに、
彼らは輪を架けて神秘的で美しい。
当分、この恋に焦がれて試行錯誤の日々を送る事だろう。
“バラ色の日々”だ。
それも良い。