YOSHII LOVINSONの『TALI』からこの林静一の漫画「赤色エレジー」を
連想したと、ある人から聞いた。
私は、あがた森魚の「赤色エレジー」は知っていたけれど、
この歌が1970年から1971年にかけて雑誌に連載された漫画「赤色エレジー」を
モチーフにして作られたものだった事は知らなかった。
早速読んでみて、衝撃を受けた。
ぼろぼろ泣けて泣けて仕様が無くて、でも、哀しく切ないだけではないのだ。
貧しさの中で身を寄せ合う二人の姿が愛しく、いじらしくて、堪らなかった。
ひたむきに愛し合う二人なのに、何かがすれ違って行って、
ラストシーン、一郎は独りの部屋で酔って吐いて、苦しみ泣きもがく。
『でも・・・・・・明日になれば 朝がくれば・・・・・・
苦しいことなんか忘れられる
昨日も そう 思った・・・・・・』
生きる事はなんて苦しい事なんだろう。
愛する事はなんて綺麗で残酷なのだろう。
でも辛くても苦しくても「明日」を生きていかなきゃいけないんだよね。
たとえ独りでも、心に愛を持っていられれば、どんなに力強い事だろうと思った。
あがた森魚の「赤色エレジー」からもそう思うのだけれど、
私は、ただ切なく哀しいだけじゃなく、恋愛の尊さ、けなげさ、
炎のただ中にいる恍惚感あるいは陶酔感のようなモノを感じるのだ。
ひたむきな愛の強さへの憧れ、そういうロマンも秘めているようだ。
『TALI』の初回盤が、赤いセロファンのような懐かしい色なのも、
もしかしたら「赤色エレジー」に繋がっているのかも、ふとそんな気がした。