ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

面影を重ねて

ジョン・フルシアンテの新作「DC EP」[ 感想:時の谷間]を聴きながら
THE YELLOW MONKEYとYOSHII LOVINSONの事を
考えて仕舞う行為は、とても不純だとは思うけれど、鈴木喜之氏のライナーノーツで
「ストイックな東と、奔放な西」という表現に、この歴史的な融合と言っていい程の
フガシのメンバーとジョン・フルシアンテとの接点が生み出した音楽の意義の大きさを
感じた。
大企業による音楽ビジネスとは一切関わり合いを持たないという活動方針を強く掲げ
ストイックな姿勢を持つワシントンD.CのフガシとL.A出身で
デビュー後ほどなくメジャー・レーベルと契約を交わし「売るための」努力を
(初期には強制的にではあったにはせよ)受け入れ、折り合いをつけ、
今や膨大な予算と人員を動かすビック・プロジェクトを担うレッド・ホット・
チリペッパーズは、実に対照的だ。
そのレッチリのスター・ギタリストという重責を見事に果たしながら、
一方でたった二日間という短い時間で、意気投合したミュージシャン達と共に、
自由な大らかな雰囲気の中で、低予算で音楽を作り上げ、
膨大な宣伝費も(たぶん)掛けずに、次々に世界へ発信していくと
いうのは、何て素敵な事なのだろう。
10代で超人気バンドに迎え入れられ、世界のビックバンドの一員たるプレッシャーに、
一度は押しつぶされ、そしてどん底から這い上がって来た男が、
今こうして彼自身がより良い音楽を紡ぎ出す為の最良のバランスを
手に入れているという事が本当に嬉しい。
ジョン・フルシアンテに関しては、私は まだほんの初心者ではあるけれど、
彼が快適な創作状況にあって次々に新作を我々に届けてくれる事を心から望んでいる。

そういう快適な状況が、今合宿レコーディング中であるという
YOSHII LOVINSONのチームに適えられている事を切に祈っている。
日本の音楽市場で「売れる」バンドである事を常に望まれ続けたT
HE YELLOW MONKEYの名から解き放たれたのだから、これからは、
YOSHII LOVINSONの演りたい音楽を奏でて下さい。
YOSHII LOVINSONでも吉井和哉でも良いけれど、貴方が自信を持って
発信してくれる2ndアルバムを待っています。