ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

独り言いうよ

1994年吉井和哉は、「jaguar hard pain」アルバム最終曲
「MERRY X'MAS」で、
“部屋の真ん中に鏡を置いて君と二人紅をひくのさ
 最後の夜に最高の夜にこの世に背を向けよう
 魂は死ぬことなく
 君は悲しむ事なく
 ・・・・・・
 真っ白な雪の夜に確かに君がいる喜びに
 MerryX'mas MerryX'mas
 ・・・・・・
 君は一人じゃない!
 君は一人じゃない! 

 MerryX'mas MerryX'mas
 MerryX'mas MerryX'mas ”と歌った。
聖夜に、時空を超えて離れ離れに為った分身とも言うべき
ジャガーとマリーという恋人達が巡り合い一つになって
昇天していくというドラマチックな曲だ。
この時吉井和哉は、“I shall return!”と叫んでいた。
“雪は変わらない!
 永遠に変わらない!
 君は一人じゃない!”
と。
1994年12月27日「JAGUAR HARD PAIN FINAL TOUR '94 "I Shall Return !"」
ツアー最終日、中野サンプラザホールのステージで
吉井和哉は、マリーの黒いドレスを胸に抱き、そう歌ったのだという。
「永遠」って何だろう。
『君と二人』『君は一人じゃない!』と繰り返される程に
際立つ、「個」の極み。
あれからちょうど13年経ったこの年の瀬に流れる「バッカ」には、
“夜なのに 今夜は聖なる夜なのに
 絶え間なく続く星の爆発
 音もなく消えていなくなった
 ・・・・・・
 夜なのに 今夜は聖なる夜なのに
 絶え間なく続いて行くドラマ
 ただ君と一緒にいたかった”

ただ独りこの星に取り残されて、長い長い転生を繰り返し
生き続ける宿命を背負わされて仕舞ったかのような男の
深い孤独と諦観というべきような、そういう静けさを感じる。
切なさがとても身に沁みてくるのだけれど、
人を愛することの掛け替えのなさ、豊かさ、喜びを
知っているからこその、この淋しさがあるのだとそう思えば、
独りきりのこの夜の想いをひとつ残らず
自分の両腕でグッと抱き締めて遣りたくなるような、
そういう歌だと思う。