ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

吉井和哉自伝 失われた愛を求めて

失われた愛を求めて―吉井和哉自伝

失われた愛を求めて―吉井和哉自伝

吉井和哉の自伝が出版されると聞いて、
しかもそのタイトルが「失われた愛を求めて」だと知ってから、
ずっと不安だった。
吉井和哉の口から、「THE YELLOW MONKEYの実態はこうだった。」とか、
「解散の真相」だとか、「この曲にはこんな秘話」とかが暴露されて、
大好きな曲達をこれまでとは全く違って響いて来るようになったら
どうしよう、とそんな心配をしていた。
「音楽創造と家庭の間で揺れて結局音楽を選んだ男の深い孤独」等を
切々と語られたら辛過ぎるなどと考えていた。
確かに今度「BURN」を吉井和哉が歌うのを聴いたなら、
「台所の換気扇」のイメージが浮かんで仕舞うかもしれない。
それはちょっと困るかもしれないけれど、そんなの関係ない。
「JAM」が誰に向けて作った歌だったのかは、知っていた。
だから大丈夫。
「PUNCH DRUNKARD」ツアーでの事、そこまで過酷な状況だったという事
までは、知ってはいなかったけれど、おぼろげな様子を
人の噂に聞いていた。
「3.10横浜アリーナ」LIVEを『ファンがまったく見えていない。
暗闇の中でやっているしかなくて』『覚えてないです。』
本当に傷ましくて涙が溢れた。
『SO YOUNG』は、やっぱりこんなにも大きな意味があったんだよね。
武道館で聴けるのだろうか。どう響くのだろう。
怖いけれど是非聴いてみたい。

愛情問題については、『人間的な、総合的な部分を含めて、
女性もバンドと同じで、ひとつしかないんですかね。』って
言っているから、私は、もうそれで許してあげようかと思っている(笑)
ジョニー・デップの映画「リバティーン」を思い出した。
沢山の苦しみと哀しみを経て、『慈愛』の境地に至った妻の
愛の豊かさ・強さを感じた。
去年の奥様からの言葉というのは、最大限の愛の印だったのだろうと私は思う。
今現在、静岡のお母様とも山梨の家族とも、とっても良い関係を
築いていらっしゃるようだけれども、それは、
吉井和哉側から見たベストな状態であって、
他方からは大きな譲歩があるだろうという事を
心して欲しいなあと感じた。
本当に余計なお世話だろうけれど、大切にしてあげて下さい。
でもね、自伝でここまでぶっちゃけて仕舞うんだから、
ファンが私生活について、あれこれ感想を述べるなっていう方が
無理でしょ。
親子の問題について、私自身が親についてのトラウマを抱えているので、
一言言わずにいられない。ごめんなさい。
トラウマなんて、他人がどうこう言える問題じゃないのは
判っています。だから吉井和哉がお母様に39歳でようやく
溜めこんで来た想いをぶつけられた事は良かったと思う。
だからこそ、あなた自身の子供にトラウマを残さないように
最大限に配慮して欲しい。
幼い頃、両親のどちらにも必要ないとされた(そう思わされた)
子供の傷は、深い。
こんなにも愛情深い吉井和哉には、そんな心配いらないと思うけどね。
リバティーン」で伯爵が、『これでも私を好きか?』と
問い掛けていたけれど、吉井和哉もこの自伝で、
「これが生身の吉井和哉という男だけれど、これでも俺を好きか?」と
突き付けているのだろうな。
それでも吉井和哉を好きですよ。
また新たなスタート地点に立った吉井和哉
次にどんな音楽を紡いでくるのか、次回作が楽しみだ。
そして1週間を切った「吉井和哉武道館」で
どんなLIVEを魅せてくれるのか、わくわくしている。