ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

花が咲くからだよ

THE YELLOW MONKEYに一番似合う花は、桜だと思う。
桜といえば、熱田神宮の桜を背に佇むメンバー四人の姿が
掲載されている写真集「SYN」のあの写真を思い浮かべる。
美しくて切ない絵だ。
アルバム「SICKS」には、いくつかの謎があるといわれているが、
その一つが「花吹雪」のイントロで吉井和哉が呟いているのは、
『純粋な君の全ての為に私の力は全部ふさがれた。
昨日と同じくらいにその事を知っている。』
という言葉だというものだ。
その他には、「CDケースの内側にカレールゥが隠れている事」と、
「隠しトラックがある事」があるけれど、どうやら全部で6つあるらしい。
何だろうか。
「花吹雪」は、レコーディング時の仮タイトルが「首の皮一枚」だったという
逸話もあるそうだが、極めて日本情緒たっぷりな
(演歌ちっくともいわれるようだが)、ファンからの人気も高い曲だ。


“話したい事 山のようにあったけれど
 もうどうでもいい 今は君に触りたい
 抱きあっていたら 希望も悩みも忘れる
 だらしないくらい何度も何度も下さい”

“花吹雪 この心 病い重い想い”
“花吹雪この身体 病い軽いめまい”
恋を知った甘やかさ、物狂おしさ、 官能の揺らぎ。
だからこそ恋を失くした後の喪失の深さ、孤独の闇の深さ。

『花の下は冷めたい風がはりつめているからだよ
 ……
 花の下は涯(はて)がないからだよ』

坂口安吾桜の森の満開の下」の一節を思い浮かべた。

『純粋な君の全ての為に私の力は全部ふさがれた。
昨日と同じくらいにその事を知っている。』に繋がっているの
かもしれないと感じた。


《謎》
確信はないけれど・・・
アルバム6枚目の「SIX」と「SICK(S)」を掛けている。
カレールゥは、ハシシ(大麻樹脂)の色・形状が似ているから。
「アイ・キャン・ビー・シット,ママ 」は、
「I CAN BE SHIT, MAMA」と「あっかんべーしたまま」を掛けている。
HOTEL宇宙船」の歌い出し『「鍵」「宇宙」満天の星空チカチカ・・・』は、
「鍵」→「ハニー」「宇宙」→「ウォンチュー」を掛けている。
『Ah 時々 邪魔になる 我が生死よ』は、
「生死」と「精子」を掛けている。
(ちなみに、1番のサビのあとに“あー干しブドウ”と歌っている。)
「花吹雪」の仮タイトルは、「首の皮一枚」だった。
「人生の終わり~フォー・グランドマザー」この時まだお祖母様は存命中だった。

《補足》
「花吹雪」のイントロは前曲「HOTEL宇宙船」のエンディングから続いている。
《ちなみにこの手法は、THE YELLOW MONKEYのファーストアルバム
「THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE」の2曲目
「SUBJECTIVE LATE SHOW」でも使われており、
「Triad Complete Box」での宗清裕之氏の解説によると、
『「Night snails」のエンディングから、極端にエフェクトされた
ギターと、テープ回転を徐々に下げていく処理を施した
ストリングスが鳴り、そこにリバースサウンドカウベル
オーヴァーラップしてきます。』だそうだ。
1stアルバムで取り入れた手法をファンハウスへの移籍第一弾、
当時の音楽シーンへ王手を賭ける自信作「SICKS」にも
使ったのですねえ。
感慨深いです。