ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

愛の讃歌

エディット・ピアフ~愛の讃歌~ (2枚組)

エディット・ピアフ~愛の讃歌~ (2枚組)

ようやくこのDVDを観れた。
吉井和哉がこの映画を見て「泣き死ぬかと思った。」と
形容していたから覚悟はしていたけれど、
想像以上だった。泣き過ぎてもうボロボロだ。
壮絶な生涯を、歌うこと、愛すること、
それだけの為に生き切ったエディットの姿に圧倒された。
恋多き女性として知られるピアフだけれど、
この映画で描かれているのは、ボクサーだったマルセル・セルダン
との恋だ。マルセルと出会ったピアフが大歌手としてではなく、
一人の女性として恋する場面が微笑ましく、
許されぬ関係ではあったけれども、この時が真実ピアフにとって
幸福な時間だったのだろうと思えて切ない。
飛行機事故で突然マルセルを失ったピアフの悲しみは深い。
酒と麻薬に溺れ、浪費の限りを尽くす。
一人では歩けない程の身体に為りながら、ついに舞台で
倒れて仕舞う程になってからでさえ、
『もう一度歌わせて。1曲だけでも歌わないと
自分を信じられなくなるから。』と周囲に懇願した、あのシーンは、
深く胸に残った。
ピアフにとって「歌う」事こそが「生きる」事。
その言葉の重みが鋭く突き刺さった。
映画の最後に歌われるのは、「水に流して(私は後悔しない)」だ。
“いいえ、私は何も後悔していない
 私は代償を払った、清算した、そして忘れた
 過去なんて、もうどうでもいい
 ・・・・・・
 私はまた、ゼロから出発する
 私の人生はすべて、喜びも
 今は、あなたと共に始まる……”

強く儚く切ないピアフの人生そのもののような
煌めきを放つ歌だ。
浜辺でインタヴューを受けるピアフは、
「女性達へのメッセージ」との問いかけに
『愛しなさい』と答える。
愛することが出来るということがどんなに幸せだろうかと
強く感じた。

吉井和哉も彼の人生を「後悔していない」と言える男じゃないのかな。
ピアフのようにきっと彼も、彼自身の人生を
歌って生き続けて行く人なのだろうと確信した。