ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

猛毒のメロディをあなたの口にねじこんであげる

BUNCHED BIRTH

BUNCHED BIRTH

17年前の今日1991年7月21日に
THE YELLOW MONKEY初の音源「Bunched Birth」が
La.mama「ENGIN」レーベルから発売された。
初めてこのジャケットを目にした時は、
いかがわしくて妖しく怪しくて驚いたけれど、
このアルバムは、本当にTHE YELLOW MONKEYという
途轍もない力を秘めた未知の生物が産声をあげている!という
状況をリアルに伝えているようで、いつ聴いても
ゾクゾクするような興奮を覚える。
第1曲目「BUNCHD BIRTH」、英語のモノローグの吉井和哉の声が
余りに青くこそばゆい感じがして、1996年再発時の
メンバーインタヴューに依れば、レコーディング時
「吉井がラインベル鳴らしながら風と心臓の音を口で言っていた」
そうだ。
『猛毒のメロディを
 あなたの口にねじこんであげる
 この世の事は考えずに
 色気を思う存分吐きだして……』

この曲で植えつけられた「猛毒のメロディ」は、
速やかに全身を駆け廻り、細胞の一つ一つに沁み渡り、
THE YELLOW MONKEYなしではいられない身体に為り果てました!
2曲目「WELCOME TO MY DOGHOUSE」
バンドが大きくなって行ってからも節目節目に、
大切に演奏し続けられた曲だ。
「メカラウロコ8東京ドーム」ラストに掻き鳴らされたこの曲は、
凄まじく鮮やかだった。
「FAIRY LAND(電気じかけのナルシス)」
煌びやかだけど、どこか物哀しい様な、
これが「シャッフル」というものなのかと認識した曲だ。
第3曲目「LOVERS ON BACKSTREET」は、
吉井和哉が初めて作った曲だっけか。
本人「ビギナーズ・ラックみたいなもの」と仰っているが、
Fメロまであるという非常に凝った作りの曲だ。 
“Cry me now Kill me Only night I love you  
 独りぼっちじゃ夜は眠れない
 Cry me now kill me Only night I love you
 あなたにもお花をあげましょう Lovers on backstreet crazy ”

今改めて思うけれど、この“あなたにもお花をあげましょう”が
凄く好きだ。「熱帯夜」のカップリングとして収録されたものより、
この「BUNCHD BIRTH」盤の「LOVERS ON BACKSTREET」の刹那感、
悲壮感を帯びた感触が耳に残る。
次は、吉井和哉がベースで作曲したという「HANG ON TO YOURSELF」。
「交尾する猫」は、どうしても「こぎつね こーん」としか聞こえない(笑)
「退廃」「淫媚」さ加減が病みつきに為る。
「SLEEPLESS IMAGINATION」は、これぞグラムロックだ!
華やかに艶やかで、吉井和哉の鮮やかなタンバリン捌きが麗しかった。
最終曲は、TEARS OF CHAMELEON(Mr.PAPER MOON) 。
吉井和哉の歌い方は、どこか芝居がかっていて
妙に惹きつけられて仕舞う。
“Oh My Mr.Paper Moon
 クリエーターの頭蓋骨は砕け
 Oh My Mr.Paper Moon
 ラストステージにほとばしる
 ……
 Oh My Mr.Paper Moon
 声援は君の亡霊をつつみこみ……”

インディーズでの初アルバムだったけれど、
この「BUNCHD BIRTH」は、THE YELLOW MONKEYというバンドの
誕生からその終焉までをまるで描いていたかのように感じた。
ずっと後になってからも吉井和哉が「BUNCHD BIRTH」を
「超えることが出来ない」と語っていた意味が判る気がする。