ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

峠の風

THE YELLOW MONKEY最後のオリジナルアルバム「8」の最終曲
「峠」に出会ってからもう8年経った。
初めてこの曲に触れた時の衝撃を今も忘れられない。
重く深く鋭く心の臓に響くサウンドと詞であるのに、
虹に向かって歩いて行く勇気を光を
そっと授けて貰えているような、そういう力を感じる。
THE YELLOW MONKEY全曲のうちで、私にとっては、
とてもとても大切な曲だ。

「峠」という言葉そのものにも敏感に反応するようになった。
柳田国男の「峠に関する二三の考察」という
小論文を知った。
『旅人は誰でも心づくべきことである。
頂上に来て立ち止まると必ず今まで吹かなかった風が吹く。
テンペラメントががらりと変わる。単に日の色や
陰陽の違うのみならず、山路の光景がまるで違っている。』
柳田国男は、数多くの過酷な山道を実際に歩きながら、
「峠」の成り立ち、「峠の裏と表」についての考察を
深めていったのだ。
文中に『峠越えの無い旅行は、正に餡のない饅頭である。』
という記述がある。
『昇りは苦しいと言っても、曲がり角から先の路の付け方を、
想像するだけでも楽しみがある。・・・下りは、
成長して行く快い夢である。』のだそうだ。

先日、渋谷La.mamaでカヴァーイベントが行われたそうだ。
THE YELLOW MONKEYのカヴァー曲も何曲か演奏された模様を
お友達に教えて貰った。
もの凄くツボに嵌るセットリストだったそうで、
体感してみたかったと強く思った。
HEE FESTでヒーセとエマが参加したTHE YELLOW MONKEY
カヴァー演奏されたレポを読ませて貰った時にも感じた。
THE YELLOW MONKEYの曲をヒーセとエマが鳴らしているのなら、
身体は無条件に熱狂するだろう。
身体に沁みついたフレーズをエマのギター、ヒーセのベースが
奏で刻み込んで来るのなら、どれ程の感動だろうか。
麗しい若者がリスペクト溢れる音を奏でているステージを
目に出来たら、どれ程嬉しく楽しく思うことだろうか。
きっと私がその場に居る事が出来たら、
心から楽しむ事だろう。

けれど、それでも、吉井和哉菊地英昭、広瀬洋一、
菊地英二の4人+三国義貴さんのTHE YELLOW MONKEY
死ぬほど恋しく想うだろう。

今、私はひとつの「峠」まで来たけれど、
懐かしい故郷が恋しくて恋しくて堪らない・・・
何だかそういう気持ちだ。
「虹」って、雨が降らなければ現れないんだっけ?
「虹」は、遠い。