ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

黄金の林檎

山崎洋一郎氏のブログに載せられているJAPAN次号の予告は、
赤のコートを着た吉井和哉のフォトに
吉井和哉
黄金のアルバム The Apples』と書かれているものだ。
黄金のThe Apples・・・黄金の果実。

本来ならば、今日、この吉井和哉新アルバム「The Apples」を
手に出来ていたろうにと思うと、とても残念だけれども、
これまでに耳にした収録曲、「ACIDWOMAN」「VS」、
「おじぎ草」「LOVE & PEACE」そして「FLOWER」、
これらに触れて、『The Apples』がどれ程大きな力を持った
アルバムなのだろうかと待ち焦がれている。
音楽を生きる者として成長し続けて来た
ミュージシャン吉井和哉という一つの樹木に
今、神々しい黄金の果実が結実しているのだなあと
そういう風に感じている。
イェーツ「さまようイーンガスの歌」より
彼女のゆくえを探しあて
その唇にキスをして手を取り
まだらな草地を歩きまわり
時が過ぎるまで摘もう
月の銀色の林檎を
太陽の黄金の林檎を

そしてこの詩から名付けられたレイ・ブラッドベリ
短編集「太陽の黄金の林檎」。
時として太陽は一本の燃える樹木、
その金の果実は真空のなかで揺れ、
その林檎をば人と重力がむしばみ、
かれらの信仰はそこかしこに発散する、
太陽が一本の燃える樹木と見えるとき・・・・・・

今、この短編を読むと、
本来望むべき以上の力を欲して、危機に陥っている
今の人類の状況を照らし合わせて仕舞って、
暗澹たる気持ちがよぎったけれども。

それでも、「LOVE & PEACE」「FLOWER」を聴けば、
希望の光に包まれる想いがする。
ゆったり穏やかに見守り励ましてくれるような。
これが吉井和哉言うところの「父性」なのだろうか。
日曜日に放送されていたラジオ番組「MUSIC FLAG」で
吉井和哉は、THE YELLOW MONKEY時代「太陽が燃えている」「JAM」の頃、
父性が芽生えたと語っていた。
『自分の事ばっかり考えていて、
自分の事わかってほしいとか、それでずっとやってきたバンドだった』と。
私がTHE YELLOW MONKEYで初めて「父性」を感じたのは、
そのものずばりのタイトルだけれども、「FATHER」だ。
自分自身の亡くなった父親への歌だろうけれども、子を授かって、
人の親となる自分自身へも向けた誓いでもあるだろうと思っていた。
『ある時父性が芽生えて、その父性、から出来た曲っていうのが
凄く広がってった記憶はあります。
それと同じような父性が芽生えたのが、「LOVE & PEACE」です。』
親子、受け継がれる血、という事ばかりではなく、
吉井和哉にとって「父性」とは、自分の中で「責任みたいなもの」だという。
『若いアーティストが慕ってくれて可愛がるのも僕の中で父性だし、
こんなに慕ってくれてんのに俺もっとちゃんとやんなきゃだめじゃんみたいな、
のも父性だし、なんかそのファンの子をもっとこう勇気づけて
あげなきゃってゆうのも父性』なのだと吉井は語っていた。
堂珍嘉邦さん が『吉井さんは、一緒に飲んでいる時、凄く優しいまなざしを
することがある』と話していて、そういう時は、「父親の顔」
しているのかなあとちょっと思ったりもした。

少し前まで「基本的に可愛がってほしい。本当は可愛がってほしい。
ってか、もっと可愛がれ!!」なんて言ってたお方がねえ、
大人になったものだわ♪
と言いつつも、『却下されたけれど最初「ACIDWOMAN」の中間部に
三味線入れてて、「あまりに遊郭すぎる」とボツにしたけれど、
自分の遊郭感・・・その昭和の着物着た花魁とかそうゆう、
自分の中でその遊郭の女性が出てくるのが出てくるのが嫌だった。
けれどほぼ全作出てくる。
それは自分の別の一面なのかもしれない。
だから仲良く付き合ってかないと、
たまに褒めてあげないといけない、
「綺麗だよ♪」って』
「東京カレンダー」で「成仏したかも」と言っていて心配したけれども、
ついに「仲良く」「褒めてあげる」っていうところまで自覚したんですね!?
どうぞ末永く睦まじく♪
『続ける事がやっぱり一番だと思いました。』と語っていたけれど、
音楽しか出来ないと思い定めた一本の道、
どうぞ歩き続けて行って下さい。
遠い遥かな道を。