- 作者: 利倉隆
- 出版社/メーカー: 二玄社
- 発売日: 2009/06
- メディア: 大型本
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「イメージの森のなかへ モネ 水の妖精」の方だけれど、
「点描のしくみ」にちなんで、「スーラ 光の詩人」について。
まず無人のグランド・ジャット島の絵が登場する。
そして次のページには、はじめの絵と同じ場所、
同じ影つまり同じ時刻に40人もの人々が、様々な年齢、
職業、階級を構図や色彩、光と影でスーラは、
鮮やかに描き分けていることを説明してくれている。
そして彼は、「点描」をこころみはじめる。
「色や光の効果を正確にはかりながら」
丹念に丹念に。
大写しになった「パレード」に惹き付けられる。
31歳で亡くなった彼が最後の数年を共に暮らしたという
マドレーヌを描いた「化粧する若い女性」。
深い愛情というより静けさ、冷静な画家の目
というようなものを強く感じてしまうけれど。
『絵の静けさは色彩と線とかたちの調和から、
その調和は彼の秘められた豊かな内面からもたらされます。
そしてその内面は、謎です。』と
利倉隆氏は、書いておられる。
『そしてその謎を知るには、いくたびも彼の
点描の詩に耳を傾けるしかありません。』と。