ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

風の中の答え

『お宅のテレビの故障ではありません。調節しようとしても無駄です。
今や放送は、われわれがコントロールしています。そのすべてを。・・・』の
ナレーションから始まる人気SFドラマ「新アウター・リミッツ」を楽しみに見ている。
先週は、『禁断の音楽』というタイトルだった。
6000万光年?彼方の宇宙から届いた電波がある規則的な周波数を
持つ事に気づいた若き研究者は、10代の妹が偶然そのテープを耳にした事から、
驚愕の真相に迫っていくという内容だ。
その音楽は、急速に10代の少年少女に熱狂的に広まっていく。
間もなく彼らの身体に異変が起き、懸命に謎を追求する主人公と
兄弟の父親の医師が突き止めた音楽の正体は・・・
太陽系と非常に似通った恒星に属していた、高度な文明を持った
生命体が、急激な紫外線増加による生命絶滅の危機に対処する
方策を、その音楽に託して我々人類に送ってくれていたというものだった。
太陽が最終変化を遂げて、地上の空が紫に変わった時、
兄妹と妹の恋人等進化を選んだ人類達は、紫外線の脅威に適応した
メタルフェイスの異形の姿だった。
最終場面のナレーションは、『音楽は、世代も地域も人種も超えて
人々を繋ぐ。そして時には、時空の扉さえも軽々と超える事がある。』と
いうものだった。
細かい言い回しは、違っているかも知れない。
けれど、今日本人がイラク武装グループに拘束され、
安否が気遣われている現状で、もし人種も主義主張も全ての
紛争を収める「究極の音楽」というものは、存在しないものだろうか
とふと思って仕舞った。あまりに儚い幻想だ。
“人は何度見上げたら
本当の空を見ることができるのだろう?
どれだけ聞いたら分かるのだろう?
人々が泣いているという事を。
どれだけあれば分かるのだろう?
あまりにも多くの死があるということを。
答えは友よ、風の中にある。
答えは風の中にある。”
ボブ・ディランの歌う「風に吹かれて」の一節だ。
風の中に彷徨う答えを人はいつか手にする事も出来るだろうって、
希望を持とうよと、肩を抱かれているような、穏やかで優美でありながら、
とても力強い歌だ。人の命より重いものはない・・・
平和な星でありたい。