ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

COMPLETE SICKS

COMPLETE SICKS(DVD付)Blu-spec CD(TM)

COMPLETE SICKS(DVD付)Blu-spec CD(TM)

オリジナル「SICKS」発売から13年後の
今日1月22日に「COMPLETE SICKS」を聴いた。
デジタルリマスターとは、Blu-spec CDとは、
ここまで凄いものなのかと驚いた。
ギター、ベース、ドラム、キーボード、
それぞれの音がクリアに浮かび上がってくる。
吉井和哉のヴォーカルがそこに鮮やかに絡んで来て、
文字通りゾクゾク来た。
「SICKS」は、THE YELLOW MONKEYの中でも一番好きな
アルバムだから、これまでも数限りなく聴いていた筈なのに、
それでも、このサウンドにノックアウトされた。
正に「最高傑作」。
96〜97年当時のTHE YELLOW MONKEYが目指した、
いや今現在の吉井和哉が理想とする最高の音で
「SICKS」を出せたのだと感じた。
私は、「紫の空」が大好きで、ホームページを
「PurpleSky」と名乗っているのだけれど、
改めてこの曲のもの凄さに痺れた。
「天国旅行」がもう言葉に為らないほど凄まじい。
完全版を今、私達に届けてくれてありがとう!
「SICKS」を生み出してくれてありがとう!


デモ音源では、きちんと歌詞が入っている曲、
ハナモゲ歌の曲(ほんとに「ホニャララ」と歌っている曲があって
驚いた!)、どれもメンバーが曲を完成させていく過程の
気迫や熱、喜びが感じられて、堪らない気持ちになった。
未発表の曲がないことやデモ音源を入れて¥8400という
価格が高いという声もあるようだけれど、
私は、初回盤でレコーディング風景や関係者達への
インタヴューDVDをつけたこの価格が高い等とは、思えない。
借りてでも良いから、THE YELLOW MONKEYを少しでも
好きと思うなら、このアルバムを聴き、
そしてDVDを見るべきだと思う。
バンドとしての最高の状態でレコーディングしている
メンバー達の「喜びに満ち溢れている空気」、
和気あいあいとリラックスしている微笑ましい光景、
作業に関しては、一転張りつめた真剣な表情・・・
それでも一番感じたのは、「幸福感」だった。


インタヴュー部分も、とても得るところが大きかった。
ディグビー氏が『ロビンのヴォーカルは、マイクに
感情を流し込む。・・・フィーリングのボタン、感情のボタン
・・・どこから唄っているのか判るんだ。』と言って
胸を指す、その仕草を見て、この方は、吉井和哉
歌っている歌詞の意味が判らないかも知れないけれど、
フィーリングを感情を、ちゃんと受け止めて
サウンドを録って下さったのだと判った。
ありがたい事です!
そして山口州冶氏が『「SICKS」をミキシング出来て嬉しく思う』
『志が高い、理想の音が鳴っている』『波動』と仰っていて、
吉井和哉自身も語っていたけれど、メンバー達も
そしてそれをサポートする人々もスタッフも
ピタッと最高の『惑星の並び』だったのだろうね。
奇跡の瞬間がこの「SICKSレコーディング」だったのだろう。
そして、この吉井和哉言うところの、
「綺麗な、澄んでいる空気、水が流れている」「頂点の」
THE YELLOW MONKEYの姿を切り取って、写し残して下さった
有賀幹夫氏にも感謝だ。
フォトブックに収められた写真達からは、
96年秋ロンドンでのTHE YELLOW MONKEYが醸し出していた
ピュアさ、ひたむきさ、煌めきを、その匂いまでが
感じられるように思った。
美しい最高の季節。
ブックレットの最後に載せられた
吉井和哉の言葉が刺さった。
シークレットトラックのハミングそのものだと思った。
淡くて切なくて最上の喜び。


「COMPLETE SICKS」を世に出すことで、
吉井和哉は、やり遂げた、遣り尽くした、
THE YELLOW MONKEYに終止符を打てたのだと思った。
YELLOW MONKEYありがとう!
“おやすみなさい。さようなら。”




《蛇足》
♪さよならは別れの 言葉じゃなくて 再び逢うまでの 遠い約束♪