ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

ROCKIN'ON JAPAN6月号

ROCKIN'ON JAPAN6月号『吉井和哉「WINNER」を語った独占インタヴュー』を読んだ。
「WINNER」という曲を聴いて、そして「発光」の歌詞を知って私は、
もしかしたら吉井和哉が現在かなりセンシティブな状態になっているのでは、と
少しばかり案じていた。
けれど山崎洋一郎編集長のインタヴューに答える吉井和哉は、
案外タフそうで安心した。
本当に私は、こと吉井和哉の事となると
「ザ・取り越し苦労」に化す困った人間なのだ。
「WINNER」が吉井和哉の自分自身への応援歌であり、
「発光」が厳しい状況でもそれでも「歌い続けてたい」という
強い意志表明の歌だろうと感じて吉井本人を案じていたのは、
山崎氏も一緒だったらしくて、流石に吉井好きの人間は、
視点が似るものだと、可笑しくもあり心強く思ったりもした。
『煮詰まってる、落ち込んでる、抜けたと思ったらトンネルだった、
あるいはプライベートでしっちゃかめっちゃかになってるとか。』と
仰る山崎氏への『全部当たってます』という吉井の返答にちょっと噴き出した。
「全部」とは気の毒に。
「公私ともに大変な時期」なのだそうだ。
「公」の部分では、事務所を独立もしたし、ソロとしての正念場だしという
大切な局面に立っているのだと想像もつく。
でもプライベートでもこの人は困難を抱えているのか。
本当に余計な事を言うようだけれど、この人は
『人間の道はルールやモラルがある』って事を知っている男だし、
たとえ『感電防止で巻かれたビニールをむいてしまった』としても、
痛みも悲しみもちゃんと自分自身で取り込んで生きて行く人だと私は思う。
絵に描いたような幸せな人生には遠いんじゃなかろうかと案じられるけれど、
どうかその波乱万丈な生き様を音楽に昇華させて行って欲しい。

このインタヴューで一番印象的だったのは、
「果実アルバム」についての山崎氏と吉井和哉のやりとりだった。
山崎氏の仰る「果実アルバム」を作っていただきたい。
『イエロー・モンキーの吉井和哉も、YOSHII LOVINSONも、
そして吉井和哉も全部を含んだ、最強の吉井和哉のアルバム』を
聴きたい。
そしてこれが「吉井和哉のLIVEだ!」と見せつけて欲しい。
「WINNER」DISC Reviewに書かれた井上貴子さんの
『たったひとりの人生が何万人もの人生と繋がっていく、
ロックの夢そのもののような歌』『雲の切れ間から光がこぼれる、
やわらかな慈雨のような一曲』」という言葉が心に沁みた。