ROMANTIST TASTE

この羽よりも軽いもの?

希望の水「球根」


吉井和哉自伝「失われた愛を求めて」「祖母の死」の章で、
吉井和哉が1998年正月スペイン旅行で訪れた
トレドのサントトメ教会で見た絵は、
エルグレコの描いた「オルガス伯の埋葬」だ。
この絵を見た時に『頭の中で“球根”が流れた』と語っている。
この絵の下半分に描かれた地上では、
オルガス伯の亡骸が聖アウグスティヌス
聖ステファヌスに抱き抱えられ黒衣の参列者や騎士の見守る中で
埋葬されようとする姿が、そして絵の上部では、
オルガス伯の魂がイエスの導きで天上世界へ生まれ出でる様子が
表わされている。
魂が中心部を下から上へ昇って行く様子は、あたかも
胎児が産道を通って誕生するようにも見える。
「死」と「再生」、「喪失」と「魂の平安」「希望」
そういうものを感じる。
吉井は、『“球根”が嫌いな曲というわけじゃないんだけど』とか、
言っているけれど、私は、THE YELLOW MONKEYの中で
この「球根」「BULB」はベスト3に入る曲だ。
「球根」は、物凄く研ぎ澄まされた詞だと思うし、
「BULB」の詞、特に訳詞には、
どれくらい力を貰って来たか判らない程だ。
どれほど闇が濃くとも絶望が深くとも、
この身体の内奥に赤く息づく熱い血のマグマ、
生と性の炎が脈打つ限り、光は射すだろうって。
私にとって、この「球根」「BULB」は、最高の「希望の歌」だ。
この「球根」がリリース(1998年2月4日発売)
されてから、もうすぐ10年になる。
『初登場1位は、競合アーティストがいなかっただけだろう』なんて、
そんな理由だけじゃないと思うよ。
自分が作った曲だからと言って何を言っても許される訳じゃないと思うぞ。
何年か後でも良いから、またこの「球根」「BULB」を歌って欲しい。
様々な人生経験を重ねた吉井和哉が表現するこの歌をこの歌詞を
聴きたいと願う。
「BULB(訳詞)」吉井和哉
おまえの髪の匂い おまえの手触り 俺達の愛の光は暖かく
まるで夢から出てきたように沈黙を破り
これから起こることは炎のように

おまえが俺にもう一度囁くそしてもう一度
自由になりたいんだね たぶんできるさ なにがあっても
俺が毎日おまえに水を注ごう

地が乾き、割れ、雷が叫び
空が広々と開いた時 絶望が生まれる

だから待つんだベイビー 俺の手をしっかりと握りしめるんだ
夜が終わりを告げれば 俺達が何をしてきたかわかるだろう
子宮の中の胎児のように 太陽を待っている花のように
塩水を与えられれば そこから何が生まれるだろう

ママの子供のように炎のように熱くそしてワイルドで炭のように赤いおまえは・・・

裏か表か 生きるか死ぬか それだけのこと?

世界が道や意味を失い迷っても
おまえが応えてくれれば 俺の全てをやろう

だから待つんだベイビー 俺の手をしっかりと握りしめるんだ
夜が終わりを告げれば 俺達が何をしてきたかわかるだろう
子宮の中の胎児のように 太陽を待っている花のように
塩水を与えられれば そこから何が生まれるだろう?俺達に・・・・